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プレスリリース

※2015年以前に発表された、プレスリリースの内容を掲載しています。

2013.12.02
アトピー性皮膚炎の研究に新たな知見

「L-92乳酸菌」に乳幼児アトピー性皮膚炎 症状緩和の可能性

第63回日本アレルギー学会(11月28~30日/東京)にて発表

カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:山田藤男)発酵応用研究所は、NPO法人アレルギー支援ネットワーク(理事長:須藤千春)と共同で、あいち小児保健医療総合センター 伊藤浩明 内科部長らの協力の下、通常の治療に加えて「L-92乳酸菌」を継続的に摂取することにより、食物アレルギー(※1)を合併している乳幼児のアトピー性皮膚炎(※2)湿疹を緩和する傾向と、皮膚の炎症マーカーが低下することを確認しました。この研究結果を第63回日本アレルギー学会(11月28-30日開催)で同センター アレルギー科 中田如音医師らが発表しました。


【背景】
当社では、人々の心とからだの健康に役立つ商品・技術を提供することを目指し、乳酸菌や微生物を活用した研究を行っており、当社で保有する数多くの菌株から、特徴的な機能性を発揮する菌の特定やメカニズムの解析など、多くの研究を行ってきました。
なかでも1999年から開始したLactobacillus acidophilus L-92」(以下「L-92乳酸菌」のアレルギーに関する研究では、これまでに花粉症、通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などアレルギー症状の緩和に関して、学会や論文、雑誌等で発表を行ってきました。
日本では近年、アレルギー性疾患を持つ患者数が増加していることを背景に、多くの企業や大学、医療機関でアレルギー性疾患の症状緩和に関する研究が進められ、とくに乳酸菌が有用であるとの報告がされています。
これらの研究のなかで、乳幼児期においてアレルギーになりやすい体質があると、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患が重複して発症することが多く、早期の適切な治療が重要だと言われています。
そこで当社は、NPO法人アレルギー支援ネットワークと共同で、食物アレルギーを合併したアトピー性皮膚炎の乳幼児を対象に、「L-92乳酸菌」の長期摂取による治療補助効果の研究を行いました。
【調査概要】 アトピー性皮膚炎の年齢別有症率
目   的 : 「L-92乳酸菌」の継続摂取が及ぼす、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併した乳幼児への効果を検証する。
方   法 : ・ アトピー性皮膚炎の標準治療に加え、「L-92乳酸菌」の粉末食品を6ヶ月間摂取する。
・ 対象を2群に分け、試験群は1日当たり「L-92乳酸菌」を20mg摂取し、もう一方は対照群としてその効果を比較する。
・ 評価は摂取開始前、摂取開始から1、3、6ヵ月後に実施。
対 象 : 2011年、2012年6~8月にあいち小児保健医療総合センター
アレルギー科を受診した生後10ヶ月~3歳未満の、食物アレルギーを合併するアトピー性皮膚炎の患児59名(平均年齢1.8歳)
調査方法 : ① SCORAD (アトピー性皮膚炎症状スコア)(※3)
② 血中マーカー(※4)
③ 患児やその親の生活に関するアンケート
調査期間 : 2011年6月15日~2013年3月31日
【結果】
  1) 「L-92乳酸菌」20mg摂取群はSCORADの変化について改善傾向が認められた(図1)。
2) 「L-92乳酸菌」20mg摂取群では、対照群と比べ6ヶ月間摂取後の血液中の総IgE(※5)の量が有意に低下した。(図2、p<0.05)
3) 「L-92乳酸菌」20mg摂取群では、対照群と比べ6ヶ月間摂取後のTARC(※6)の値も有意に低下した。(図3、p<0.05)
4) 「L-92乳酸菌」の継続摂取による有害な事象は認められなかった。
 

【結論】
  「L-92乳酸菌」を1日当たり20mg摂取することで、アトピー性皮膚炎の湿疹が改善傾向を示し、血液中のアレルギー指標が改善されたことから、「L-92乳酸菌」は乳幼児のアトピー性皮膚炎に有効に働く可能性が示唆された。
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当社ではこれまでに「L-92乳酸菌」の研究において小児(平均年齢4.7歳)・成人(平均年齢29.7歳)のアトピー性皮膚炎に対する効果を確認しており、さらに今回の調査では乳幼児に対する効果が期待できることも確認できました。
今後は、今回の調査結果を参考として、高齢者など全ての年代の方のアトピー性皮膚炎に対する有効性を評価するなど、アレルギーに対する有効性をさらに明らかにするとともに、「L-92乳酸菌」のはたらくメカニズム解明のための検証を進めてまいります。
【参考】
 
※1 食物アレルギー
食品中のアレルギー物質を体内に取り込むことによって起こる、じんましんやかゆみなどの皮膚症状、または消化器、呼吸器におこる様々な反応のこと。乳幼児ではアトピー性皮膚炎患者のうち、約40%が食物アレルギーを合併していると言われている。
※2 アトピー性皮膚炎
アレルギー反応と関連があるもののうち、皮膚の炎症(湿疹など)、かゆみ、肌の乾燥などを伴うもの。症状は乳児から子供、大人まで幅広い世代に現れるが、子供のアトピー性皮膚炎の場合はアレルギーを起こしやすい体質である場合がほとんどである。
※3 SCORAD
Severity Scoring of Atopic Dermatitis の略。アトピー性皮膚炎の重症度の程度を客観的に評価するために開発された指標であり、世界中で広く用いられている。皮膚炎の範囲、皮膚炎の強さ、および主観的な症状の三つの要素から算出される。
※4 血中マーカー
アトピー性皮膚炎や炎症などの病態と関連することがわかっている血中の成分として、IgE、TARC、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)などを測定した。
※5 IgE
血液中に存在し、体外からの異物を捕まえて体を守る物質。ただし、IgEが過剰に働くと、かゆみや腫れを引き起こす原因物質(ヒスタミンなど)が放出され、アレルギー反応を引き起こす。アレルギー検査項目の一つ。
※6 TARC
Thymus Activation Regulated Chemokine の略で、血液中にあるケモカインと呼ばれるたんぱく質の一種。アレルギーの炎症に関係する物質で、アトピー性皮膚炎の炎症とも関連性があるといわれている。炎症が強い人ほど数値が高くなり、炎症が弱い人では数値が低くなる。
※7 中央値
観測データを大きさの順に並べた時にちょうど中央に位置するデータの値のこと。5人のデータの場合、データを大きい順に並べたときの3番目の値のこと。


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