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プレスリリース

※2015年以前に発表された、プレスリリースの内容を掲載しています。

2010.09
「ラクトトリペプチド」に動脈硬化予防の可能性

「ラクトトリペプチド」の中心血圧および
血管柔軟性改善作用を確認

~国際高血圧学会(カナダ・バンクーバー)にて発表~

カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:山田藤男)発酵応用研究所は、当社が発見した食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドである「LTP(ラクトトリペプチド)」(=VPP・IPP、以下、「LTP」)を使用した研究を実施し、「LTP」を含むカゼイン酵素分解物が中心血圧及び血管柔軟性を改善することを、東京医科大学八王子医療センター長・循環器内科教授の高沢謙二先生の協力により確認しました。

 この研究成果を国際高血圧学会(カナダ、バンクーバー)で9/28(現地時間)に発表しました。


1.研究の背景

 当社は1990年代に、「カルピス酸乳」*1)の発酵過程で乳タンパク質のカゼインから得られる2種類のペプチドである「LTP」*2)に、血圧を降下させる作用があることを発見しました。

 最近では、「LTP」による血管内皮機能改善、動脈硬化抑制、血管年齢の若返りなどの可能性が明らかになっており、様々な角度から「LTP」の有用性が実証されています。

 動脈硬化などの血管障害は、循環器疾患(脳卒中、心筋梗塞など)のリスクとなることが知られています。近年、血管障害の程度を簡便に評価する方法が発達しており、その有用性が報告されています。今回は、血管障害の検査指標である中心血圧*3)と脈波伝播速度(PWV)*4)に着目し、研究を行いました。(*の用語説明については次項に記載しております。)



2.研究成果の要旨

 血圧が高めの方を対象に試験を行い、「LTP」を含むタブレットを摂取した群は、対照群と比較して上腕血圧だけでなく、中心血圧や脈波伝播速度(PWV)も改善されることが確認されました。以上の結果により、「LTP」の摂取が動脈硬化や循環器疾患の予防に有用である可能性が示されました。



3.試験内容について

【方 法】

 50歳以上69歳以下の高血圧未治療者で、収縮期血圧が140~159 mmHgの日本人男女70名(平均年齢57.8歳、男性47名、女性23名)を「LTP」を含むカゼイン酵素分解物のタブレット摂取群(35名)とプラセボ(「LTP」を含まないカゼインナトリウムのタブレット)摂取群(35名)の2群に分け、それぞれ1日4粒(「LTP」3.4mg)、8週間摂取させ、中心血圧、脈波伝播速度の変化を比較しました。

【結 果】

 「LTP」を含むタブレットを8週間摂取した結果、対照群と比較して摂取後の上腕収縮期血圧が有意に低下し、中心血圧や脈波伝播速度も有意に低下しました。(図1, 2)

【結 論】

 これらの結果から、「LTP」含有タブレットは血圧高めの方における中心血圧や血管柔軟性を改善することが明らかとなり、「LTP」の継続的な摂取は、動脈硬化や循環器疾患の予防に役立つ可能性が示唆されました。

 当社は、今後も「LTP」が循環器の健康に寄与する可能性について積極的に研究を進めていきます。

学会発表グラフ


【参考】用語について

1)「カルピス酸乳」

 「カルピス」は、生乳を脱脂し、独自のカルピス菌(乳酸菌や酵母の共生体)を用い、二度の発酵を経て作られますが、この製造工程で作られる一次発酵乳を、当社では「カルピス酸乳」と呼んでいます。



2)「LTP(ラクトトリペプチド)」

 乳酸菌は乳たんぱく質のカゼインを分解し、アミノ酸の結合体である様々なペプチドを作りだします。「LTP(ラクトトリペプチド)」は、カルピス酸乳」中より発見された、乳たんぱく質のカゼインから得られるVal(バリン)-Pro(プロリン)-Pro(プロリン)(VPP) 、Ile(イソロイシン)-Pro(プロリン)-Pro(プロリン)(IPP)の2種類のペプチドのことです。

 乳由来で、3種類のアミノ酸が結合したペプチドなので、「LTP=ラクト(乳由来の)トリ(3つの)ペプチド」と名付けました。

  「LTP(ラクトトリペプチド)」は、血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する作用があり、「LTP」を含む食品の摂取により血圧が低下することを正常高値血圧者、軽症および中等症高血圧者を対象とした試験で確認しています。 1997年には、「LTP」の持つ血圧降下作用を活用して、血圧が高めの方に適した特定保健用食品も開発しました。

  最近、血管内皮機能の改善や血管年齢の若返りなどの機能も明らかになってきており、血圧上昇抑制と血管機能改善の両面から、循環器疾患の予防に役立つことが分かってきました。



3)中心血圧

 心臓付近の血圧のことで、心臓など主要な臓器にかかる血圧の負荷を反映しています。手首の血圧波形を解析することで中心血圧を推定します。中心血圧は血管柔軟性や拡張性の低下に伴い上昇し、通常測定される上腕での血圧よりも密接に循環器疾患と関連することが報告されています。



4)脈波伝播速度(PWV:pulse wave velocity)

 血管の硬さ(柔軟性)を表し、循環器疾患を予測する指標の一つとされています。上腕と足首にセンサーを巻き、心臓から押し出された血液によって生じた拍動(脈波)が血管を通じて手足に届くまでの時間を測定します。血管が硬いほど、拍動が速く伝わるため、脈波伝播速度は高くなります。


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