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プレスリリース

※2015年以前に発表された、プレスリリースの内容を掲載しています。

2009.03
「LTP(ラクトトリペプチド)」の“血管機能改善”メカニズム研究

「LTP」に血管拡張物質の産生誘導作用を確認

日本農芸化学会(3月29日)で発表

カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:石渡總平)健康・機能性食品開発研究所は、これまでに血圧降下作用や血管内皮機能改善作用、血管年齢の若返りや柔軟性改善が実証されている「VPP」「IPP」(「LTP(ラクトトリペプチド)」)に、血管の柔軟性の維持や動脈硬化の予防に重要とされる一酸化窒素(NO)などの血管拡張物質の産生を誘導する働きがあることを、国立循環器病センター内科心臓血管部門の北風政史部長の協力により確認しました。
 なお、この研究結果は、2009年3月29日の日本農芸化学会で発表しました。


【研究の背景】
 当社では、1970年代より当社独自の発酵乳「カルピス酸乳」の生理機能研究を続けており、これまでに血圧降下作用などを実証してきました。
 血圧降下作用に関する研究では、「カルピス酸乳」の発酵過程で乳たんぱく質のカゼインから得られるVal-Pro-Pro(VPP)、Ile-Pro-Pro(IPP)の2種類のペプチドが、アンジオテンシン変換酵素(ACE)のはたらきを阻害して、血圧を降下させる作用があることがわかり、「ラクトトリペプチド(LTP)」と命名し、これまでに様々な研究成果をあげています。

 さらに最近では、血管内皮機能改善(2006年国際高血圧学会にて発表)、血管年齢の若返りや血管の柔軟性改善(2007年日本栄養・食糧学会にて発表)など、血管機能の改善効果についても明らかになってきましたが、どのようなメカニズムでこれらの作用が起きるのかは、明らかではありませんでした。
 血管内皮細胞は、一酸化窒素(NO)*1 など血管拡張物質を産生することで血管の拡張性をコントロールしていますが、この機能が低下すると、動脈硬化などの病気へとつながることが知られています。
 そこで、「LTP」が、血管内皮細胞に作用してNOなど血管拡張物質の産生を誘導することが可能であれば、血管内皮機能の改善効果や血管の柔軟性改善効果などのメカニズムが説明できると考え、今回の試験を実施しました。

図1.「ラクトトリペプチド(LTP)」の研究の展開

図1.「ラクトトリペプチド(LTP)」の研究の展開


【試験および結果】

1.培養血管内皮細胞に対するNO産生誘導作用
VPP、IPPを溶解した培養液中でそれぞれ血管内皮細胞を培養し、培養液のNO濃度を測定したところ、培養前と比較してNO濃度が上昇し、VPP、IPPを含まない通常の培養液で培養した場合と比較してNOの濃度を高めることがわかりました。またこの作用は、VPP、IPPの濃度に依存して強まりました。

この試験より、VPP、IPPは血管内皮細胞に作用して、濃度依存的に血管拡張物質であるNO産生を誘導することが確認されました。

2.血管拡張作用
ラットの胸部大動脈を用いて血管拡張作用を評価しました。その結果、VPP、IPPそれぞれに血管拡張作用が認められ、血管内皮細胞を取り除いた血管では認められませんでした。
次に、VPP、IPPが血管を拡張させる経路を調べるため、血管内皮細胞からの血管拡張物質の産生を阻害する物質を同時に用いて試験を行いました。その結果、NOおよび内皮由来過分極因子*2の産生阻害剤でVPP、IPPの血管拡張作用が消失しました。また、ブラジキニン*3 B2受容体結合阻害剤でも血管拡張作用の消失を確認しました(表1)。

 この試験より、VPP、IPPの血管拡張作用は、血管内皮細胞に作用して、血管拡張物質(NOおよび 内皮由来過分極因子)の産生を誘導することにより起こることがわかりました。
 また、この作用は、血管拡張物質の産生を活性化するブラジキニンの働きを増強させるためである可能性を確認しました。


以上の結果より、「LTP」の血管内皮機能の改善や血管柔軟性の改善効果のメカニズムは、「LTP」が血管内皮細胞に作用し、NOなどの血管拡張物質の産生を誘導することで起こる可能性が示唆されました。

当社は、今後も「LTP」の血管機能改善作用に関する研究を推進していくと共に、この機能が循環器疾患の予防に寄与する可能性などについて積極的に研究を進めてまいります。


【用語の説明】

*1 一酸化窒素(NO: nitric oxide)
 NOは、強い血管拡張作用を示し、動脈硬化の進行や血栓の形成を抑制する働きがあるため、循環器疾患を予防する上で重要な物質である。
 血管内皮細胞は、ブラジキニンなどによる刺激を受けるとNOを産生する。

*2 内皮由来過分極因子とプロスタサイクリン
 どちらも血管内皮細胞が産生する血管拡張物質。

*3 ブラジキニン
 血管内皮細胞に対して血管拡張物質(NOや内皮由来過分極因子)などの産生を誘導する物質。


プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。