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プレスリリース

※2015年以前に発表された、プレスリリースの内容を掲載しています。

2007.03
日本薬学会(3/28)にて発表

血圧降下作用のある『ラクトトリペプチド(VPP・IPP)』に
血管内皮機能改善を確認

~循環器障害予防の可能性も示唆~

カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:石渡 總平)基礎研究フロンティアラボラトリーは、当社が発見した食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドであるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)が、血管内皮機能を改善するとともに、循環器障害を予防する可能性があることを、国立循環器病センター 内科心臓血管部門の北風政史部長の協力により確認しました。この研究成果は、本日の日本薬学会(3/28)で発表します。

 当社はこれまで、軽症高血圧者を対象にした試験でVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を含む『カゼイン酵素分解物』が、低下した血管内皮機能を改善することを確認しています。
 今回の研究により、この改善が「ラクトトリペプチド」を有効成分としてもたらされる可能性が示されました。また、同じ試験により、「ラクトトリペプチド」が循環器障害を予防する可能性が示されました。


【背景】

 当社は、発酵乳「カルピス酸乳」の生理機能研究を1970年代に本格的に開始し、血圧降下作用などを実証してきました。

 血圧降下作用の研究では、「カルピス酸乳」の発酵過程で、乳たんぱく質のカゼインから得られるVal-Pro-Pro(VPP)、Ile-Pro-Pro(IPP)の2種類のペプチドが、血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する作用があることがわかり、「ラクトトリペプチド」と名づけました。現在まで、正常高値血圧者、軽症および中等症高血圧者への血圧降下作用や安全性などの研究で成果をあげています。

 昨年10月、当社独自の素材で食品由来のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドであるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を含む『カゼイン酵素分解物』を摂取した研究を実施し、『カゼイン酵素分解物』に血管内皮機能(*1)を改善する働きがあることを国際高血圧学会で発表しました。

 このたび、当社は、『カゼイン酵素分解物』に含まれるVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)が血管内皮機能を改善する成分であるかを確認するため、国立循環器病センター北風部長の協力を得て研究を行いました。

 

【試験】

 血管内皮は、一酸化窒素(NO)などの血管調節因子を産出し、血管の収縮や弛緩、血液の線溶、凝固をコントロールすることなどにより血管機能を維持し調節します。今回の試験では、生後8週のラット(Wistar系雄ラット)に、一酸化窒素合成酵素阻害薬を水に溶解して摂取させることで、血管内皮に障害を持たせるようにしました。

 この血管内皮障害ラットに、水に溶解した一酸化窒素合成酵素阻害薬に加えて、VPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)を溶解した水を摂取させました。

 血管内皮機能の測定は、それぞれを摂取した後に胸部大動脈を摘出し、血管を収縮させた時の血管内皮に依存した血管拡張反応を測定して、内皮障害の指標としました。

 また、摂取後の心臓と腎臓を摘出し、組織学的な検査により各臓器の障害の程度を評価しました。

 

【結果】

 一酸化窒素合成酵素阻害薬を与えることにより、血管内皮に依存した血管拡張反応の低下が認められました。

 一酸化窒素合成酵素阻害薬に「ラクトトリペプチド」を併用して1週間摂取させると、血管拡張反応が改善(収縮した血管が拡張)することが明らかになりました。

 昨年、『カゼイン酵素分解物』で血管内皮機能の改善効果が認められたことを国際高血圧学会にて発表しましたが、その改善効果が『カゼイン酵素分解物』に含まれている「ラクトトリペプチド」を有効成分としてもたらされる可能性が示されました。(図1)

 また、このような血管内皮機能障害は循環器病のリスクを高めることが明らかになっており、一酸化窒素合成酵素阻害薬を引き続き8週間にわたり摂取させたところ、心臓の心室壁の肥大(*2)、および腎臓の中小動脈の肥厚(*3)が認められました。

 一方、「ラクトトリペプチド」を構成している「VPP」を併用した場合では、この心臓に対する障害、腎臓に対する障害が軽減されていることが明らかになったことから、「ラクトトリペプチド」の継続的な摂取が、心不全や腎不全などの循環器障害の予防につながる可能性が示唆されました。

 当社は、今後もVPP・IPP(「ラクトトリペプチド」)や『カゼイン酵素分解物』の血管内皮機能に関する研究を推進していくと同時に、この機能が循環器疾患の予防に寄与する可能性などについても研究を進めていきます。

 
血管内皮機能改善

*1:血管内皮機能

 〝血管内皮機能〟は、生活習慣病の予防に重要な役割を担っています。血管の最も内側(内膜)にある血管内皮は、全ての血管に存在し、血管機能を正常に保つ役割を担っています。高血圧や高脂血症などによって障害を受けると血管内皮機能が低下し、動脈硬化をはじめとする循環器病の発症リスクが高まることが明らかになっています。


*2:心臓の機能と心室壁の肥大

 心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。高血圧や肥満などの症状によって、正常な血液循環が起こりにくくなると、心臓ではより力強く血液を送り込もうとするため、心室の筋肉が増大します。この心室の筋肉の増大が心室壁の肥大、いわゆる心肥大の原因です。心臓の筋肉が増大すると、心臓により多くのエネルギーを供給しなければならなくなり、それがかえって心臓の負担を高めます。心臓の負担が過剰になるとその機能を維持できなくなり、ついには心臓が正常に機能しなくなる、いわゆる心不全の状態になってしまいます。そのようになる前に、心臓への負担を軽減させ、肥大を抑えることが重要であると考えられています。


*3:腎臓中小動脈

 腎臓は生体活動で生じる老廃物を尿として体の外に排出する働きを持っています。それ以外にも、ホルモンの分泌などを行い、体の調節に重要な働きを担っています。腎臓内にはたくさんの小さな血管が走っており、この血管に障害があると老廃物の運搬、排泄が充分に行われなくなります。体内の老廃物が排泄されないと、老廃物が体内にたまってくるため、様々な悪影響を及ぼします。腎臓の排泄機構がうまく働かなくなった状態を腎不全といい、この慢性的な腎不全は、回復させるのは不可能であるといわれています。


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